未病を判定する
東洋医学には未病という考え方があります。健康な人が病気になる前の状態で、まだ病気ではないが、放置すれば病気になるかもしれない健康と病気の間のグレーゾーン、病気が発症する前の身体の状態のことを未病といいます。検査に異常がないので、西洋医学的には、不定愁訴や自律神経失調症と診断されることが多いですが、この未病を判定する方法が良導絡自律神経の測定です。
経絡と良導絡の違い
良導絡理論は皮膚通電抵抗を介して、表の交感神経機能を観察し、電気の流れやすい所の反応良導点の機能的つながりを示すものとして、良導絡と名称を持つ交感神経系の機能を想定しています。良導絡は鍼灸の経絡に類似していますが、両者は同一ではありません。主観的であるか客観的であるかの観察方法の違いが、経絡と良導絡の相違であると考えられます。
自律神経の状態を数値化
良導絡測定は、手足24ケ所の代表測定点の皮膚通電抵抗を測定することにより、交感神経系の興奮性を知ることができます。自律神経の状態を数値化して見ることができるので、普通ではわかりづらい鍼灸治療の診断方法と違って、一定のルールに従って測定すれば、誰がいつ行っても同じ条件で測定時点の状態を測定できます。
測定結果から、患者さんの体調や症候、元気度、ストレス、病気を治そうとする力がわかり、体力の盛衰状態を知ることができます。これらは、治療方針の決定や刺激量に対する支援となります。また、経時的測定により、治療効果判定や予後など多くの情報を知ることができます。
未病を治す
現代医学は主に病気のそのときの症状を治す対症療法によって治療するため、病態を特定しにくい病気には無力に終わってしまうのが現状です。ほとんどの病気は突然降って湧くようなものではありません。長い年月と幾多のプロセスを経てからだを蝕んでいくのです。病気からからだを守っているのは自然治癒力です。この治癒力が正常に機能することで病気から身体を守ってくれます。しかし、日常の生活や仕事での疲れ、精神的ストレスは治癒力を低下させ未病をつくります。未病を治すということは現代の言葉で予防医学ということになります。
自律神経測定の良導絡測定は、未病を知るための簡易人間ドックにあたり、その時の身体状態を客観的に把握して、隠れた症状を知り、診断の助けや刺激量、治療法の決定に役立ちます。